このコラムでは栄養学の基礎に加えて東洋医学の中国医学(中医学)に基づく薬膳学の知識を加えたアスリートの食事を考えていきます。
今回は薬膳の基礎3回目です。
薬膳は食養生をするための「膳」で、特別に生薬をいっぱい入れたお食事ではありません。
薬膳というとハードルが高くなり、躊躇してしまいがちですが、私達の自宅にある食材を使って自分の体調に合った食事をすることです。「生薬は台所にあり」と言われるように身近にある食材を使って季節、体調に合った健康に貢献できる食事が薬膳です。今回は薬膳を調理するときに最も大切なことを御説明します。
「三因制宜」が薬膳の最も重要なポイントです。「三因成宜」は「因地制宜」「因時制宜」「因人制宜」の3つで成り立っています。
食する人が住む土地に合った食材を使った料理。日本人は日本に住んでいますので基本的に日本の各地域で収穫された食材を使用することが私たちの体に優しいのです。その土地で育った食物、食文化を取れ入れることです。現代流にいうと「地産地消」をすることです。
季節に合った食材を季節に合った調理法で食べることです。私達は地球上に生活し、地球の気候の移り変わりは私たちの身体に影響を与えます。仏教用語の「身土不二」という言葉は「身体も土地も切り離すことが出来ない」を意味し、季節にあった食材、まさに旬の食材を使用した食事で身体を健康にします。旬の食材は旬の時期に栄養価が高いことが証明されています。今日店頭には一年中いろいろな種類の食材が出回っていますが、暑い時期には体を冷やすもの、寒い時期には体を温めるものを食べることが健康につながります。冬に夏の野菜、キュウリ、冬瓜、ニガウリ等は体を冷やすため控えたほうがいいでしょう。
食する人の性別、年齢、体調、体質に合ったものを食べることです。
自分の体の状態を知って、自分の体に合った食事をすることです。西洋医学では体質とは「アレルギー体質」「がん体質」等があると言われていますが、中医学では「気」「血」「水」のバランスが崩れると体調が悪くなり、「気虚」「血虚」「気滞」「お血」等の体質があると言われています。少し「気」についてご説明します(※1)。「気」は「元気」の「気」「体のエネルギー」を指します。「気」が不足する「気虚」の状態は、「元気がない」「声が小さい」「疲れやすい」等の症状が出てきます。これらの症状に気がついたら「気」を補う食材(補気の食材)を取り入れ元気を取り戻し、体調悪化を防ぐことが大切です。「補気」の食材は長いも、エビ、もち米等があります。
「三因制宜」の考えに沿った食材を使った食事こそ、食する人に合った「オーダーメイド」のお食事になる。
「夏バテは食べて乗り切ろう!」とよく言われますが、疲れた時ほど胃を休めることが大切です。中医学では食物は五臓の胃脾で消化され全身に栄養を配ると言われています。疲れた時は胃脾も疲れていますので、胃脾に負担のかかる食事をすると、さらに胃脾が疲れ、体に栄養を配ることができなくなるという悪いスパイラルに陥ります。疲れたらまず胃脾に優しく、消化の良いものを食べることが大切です。スープ、お粥がおすすめです。季節の旬の野菜や鶏肉を使ったスープは栄養があり、体にしみ込んでいきますので、是非ともお試しください。
次回は「気」「血」「水」の詳しいご説明をいたします。
詳しい説明はVol.4で
「&DNA®」“遺伝子と共に生きていく”という想いがこめられています。遺伝子は、一生変わることのないジブンそのものです。「&DNA®」は、ジブンの可能性を最大限に発揮できる一助になれると確信しています。 各スポーツに特化した開発を今後も続け、さらにはスポーツだけに留まらず健康分野にも拡大し、シリーズ化して参ります。